2ストロークエンジンのバイクに見られる中央部が膨らんだ形状のエキゾートパイプ。
この膨らんだ部分をチャンバーといいます。
いっしょくたにマフラーと呼んでしまいそうですが、実はとても重要な固有の機能を果たしているのです。
これは排気効率をよくして、エンジンの性能を引き出すために作り出された形状なのです。
そもそもチャンバーとは部屋という意味。
バイクのチャンバーは膨張室のことになります。
2ストロークエンジンは排気しながら吸気もしており、簡単にいえば新しく入ってきたガソリン、つまりこれからまだ使える燃料まで排気として出してしまうこともあります。
排気側に行った未燃焼分を押し戻そうとするのがチャンバーの役割。
膨張室のおかげで消音効果もありますが、あの湾曲した形状で使える燃料を跳ね返し、燃焼室に戻すという燃料効率に関わる重要な仕事を行っているのです。
2ストロークエンジンにおいて排気系の果たす役割は、4ストロークエンジンに比べてかなり重要です。
2ストロークエンジンにおいて混合気は燃えてしまえば終わりではありません。
2ストロークエンジンは排気しながら吸気(掃気)しているのですが、流れている気体には慣性があるので、せっかくシリンダー内に入った新気(混合気)が勢いあまって排気ポートまで出ていってしまうのです。
また給気効率を上げるためにはある程度のスピードで混合気を流して、排気側にはみ出た分を押し戻すということが必要になってきます。
その役割をチャンバーがやります。具体的には排気脈動を利用します。
圧力波がパイプなどを伝わる時、先端が開いた状態ではそこで位相が反転して反射します。先端が閉じた状態では圧力波の位相はそのままで反射します。
排気圧力波(正圧波)が伝わってきて先広がりのテーパー部分に達すると、そこで負圧波となって排気ポート側に戻っていきます。
これによって排気ガスをシリンダー内より引っ張り出し、さらに新気を積極的に引き込みます。
そしてまた閉じテーパー側で反射した正圧波の作用により排気側にはみ出た新気を押し戻すのです。テーパー状になっているのは同調回転域を広く取るためです。